やまない雨 2
≪≪■1
■2
杠葉雨音(ゆずりは あまね)と深海悠悧(ふかみ ゆうり)が校舎の昇降口出たところで二人並んで、それぞれ傘を片手に持ちながら空を見上げている。梅雨に入って間もないため、登校時に雨は降っていなかったが傘は持ってきていたらしい。
雨音は、落ち着いた雰囲気を持つ整った顔立ちの痩せた長身の少年だ。髪は少し長めで前髪が目にかかっており、細い黒のフレームのメガネをかけている。
その隣に立つ悠悧、は長い黒髪が印象的な少女だ。こちらも痩せていて、長身である。睫毛の長い目は切れ長で、冷たい印象を受ける。肌が青白いと思えるほどに白い。
二人とも整った容姿をしているためにドラマのワンシーンの様である。
思わず足を止めて空を見上げてしまうほどに、雨脚はかなり強い。
もうすっかり日は暮れている。
学校が市街地から少しはなれた場所にあるために街の灯も届かず、少し離れたところにある校門の明かりがぼんやりと灯っている。
昇降口に灯る蛍光灯を背にしているために、余計に外が暗く見える。
いつもの学校が持つ喧騒も今はなく、辺りは雨が地面を打つ音しか聴こえない。時折雷光が走り、雷鳴が聞こえる。
「かなり本格的に降ってきちゃったね。」
雨音が悠悧に言う。
「そうだね。すっかり暗くなっちゃったし。」
「深海さんは電車通学だったよね?」
深見達の通う高校は県有数の進学校である。そのため、遠くから電車で通っている生徒も多い。
深海と雨音の住む場所は然程遠くない場所にあるが。
「うん。」
「じゃあ、俺と一緒だ。駅まで一緒に行こう。暗いし。」
「…うん。」
高校生という、多感な年頃。根も葉もない噂も広がりやすい。
悠悧は彼氏でもないクラスメイトと2人で帰ることに一瞬ためらってから応えた。
悠悧は雨音をただのクラスメイトとしか思っていないが、雨音はその整った容貌と、誰に対しても優しく接するために下級生、同級生、上級生を問わず人気のある男子生徒だ。(彼らは高校2年生である。)
それは、そういったことに興味を持たない悠悧の耳にも入ってくるほどなので、さすがの彼女も多少は気にしてしまう。
悠悧自身が自分の容姿に無頓着なため、自覚していないが、悠悧にも隠れファンは多い。
ただ、悠悧は近寄りがたい雰囲気をしているために、遠くから眺めるだけにしている生徒がほとんどで、行動に移す生徒は極稀だ。勇気を出して行動に移した生徒たちも、ものの見事に皆玉砕している。
人気もないし、まぁ、いいか。
悠悧は心の中でそうひとりごちて傘を開き、雨音に目で促して歩みだす。
無言で歩いていく。
駅までの道は人通りもなく、薄暗い。
時折車が水を撥ねさせながら通り過ぎていくのみだ。
深海は歩道の内側を歩いている。深海に意識させないままに雨音が歩道の外側を取ったのである。
右手には学校を取り囲むフェンスがあり、道路を挟んだ左手には学校のグラウンドがある。
歩いている道路は公道であるが、広い面積をとる深海の学校の所為で学校が終わるとあたりは人気が全くなくなり、少し不気味でもある。(学園をこの道路が分断してしまっているのだが、ご丁寧にも学園専用の歩道橋が備え付けられている。)
普段ならこの時間は野球部の使うナイター設備の明かりが煌々と辺りを照らしているのだが、今日は野球部の練習が出来ないほどに雨脚が強いためにそれもなく、暗くなってしまっている。
時折奔る雷光が辺りを刹那照らすが、それは不気味さを助長するだけだ。
さらに雨脚が強まってきた。
視界も狭まり、遠くで聴こえていた雷鳴も近づいてきたようだ。
「深海さん!」
学園の敷地から少し離れた辺りまで歩いたところで雨音は立ち止まり、声を大きめに出して言う。
大きめの声を出さないと悠悧まで声が届かないほどに雨の音が聴覚を妨げているのだ。
悠悧も足を止め、雨音のほうを向く。
「たぶん、もうちょっとしたら雨脚も弱まるだろうからちょっと雨宿りしよう。」
「うん?どこに?」
雨宿りできるような場所がこの近くにあるとは悠悧には思いつかないので首をかしげる。
「ちょっと知ってるところがあるんだ。」
雨音は工事途中のビルを指差す。
「え。あそこ入れるの?」
「うん。俺、よく行くんだ。」
そう言うと、雨音は早歩きで歩いていってしまう。
悠悧は少し逡巡。彼が自分に何かするとは思わないが、さすがに抵抗感は抱く。
しかし、ここにひとり取り残されるのも怖い。
彼から少し離れただけでアスファルトを強く打つ雨の音と雷鳴がやたら大きく響く。
悠悧はひとつ溜息をつくと、小走りに雨音の背中を追いかける。
■3に続く...

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杠葉雨音(ゆずりは あまね)と深海悠悧(ふかみ ゆうり)が校舎の昇降口出たところで二人並んで、それぞれ傘を片手に持ちながら空を見上げている。梅雨に入って間もないため、登校時に雨は降っていなかったが傘は持ってきていたらしい。
雨音は、落ち着いた雰囲気を持つ整った顔立ちの痩せた長身の少年だ。髪は少し長めで前髪が目にかかっており、細い黒のフレームのメガネをかけている。
その隣に立つ悠悧、は長い黒髪が印象的な少女だ。こちらも痩せていて、長身である。睫毛の長い目は切れ長で、冷たい印象を受ける。肌が青白いと思えるほどに白い。
二人とも整った容姿をしているためにドラマのワンシーンの様である。
思わず足を止めて空を見上げてしまうほどに、雨脚はかなり強い。
もうすっかり日は暮れている。
学校が市街地から少しはなれた場所にあるために街の灯も届かず、少し離れたところにある校門の明かりがぼんやりと灯っている。
昇降口に灯る蛍光灯を背にしているために、余計に外が暗く見える。
いつもの学校が持つ喧騒も今はなく、辺りは雨が地面を打つ音しか聴こえない。時折雷光が走り、雷鳴が聞こえる。
「かなり本格的に降ってきちゃったね。」
雨音が悠悧に言う。
「そうだね。すっかり暗くなっちゃったし。」
「深海さんは電車通学だったよね?」
深見達の通う高校は県有数の進学校である。そのため、遠くから電車で通っている生徒も多い。
深海と雨音の住む場所は然程遠くない場所にあるが。
「うん。」
「じゃあ、俺と一緒だ。駅まで一緒に行こう。暗いし。」
「…うん。」
高校生という、多感な年頃。根も葉もない噂も広がりやすい。
悠悧は彼氏でもないクラスメイトと2人で帰ることに一瞬ためらってから応えた。
悠悧は雨音をただのクラスメイトとしか思っていないが、雨音はその整った容貌と、誰に対しても優しく接するために下級生、同級生、上級生を問わず人気のある男子生徒だ。(彼らは高校2年生である。)
それは、そういったことに興味を持たない悠悧の耳にも入ってくるほどなので、さすがの彼女も多少は気にしてしまう。
悠悧自身が自分の容姿に無頓着なため、自覚していないが、悠悧にも隠れファンは多い。
ただ、悠悧は近寄りがたい雰囲気をしているために、遠くから眺めるだけにしている生徒がほとんどで、行動に移す生徒は極稀だ。勇気を出して行動に移した生徒たちも、ものの見事に皆玉砕している。
人気もないし、まぁ、いいか。
悠悧は心の中でそうひとりごちて傘を開き、雨音に目で促して歩みだす。
無言で歩いていく。
駅までの道は人通りもなく、薄暗い。
時折車が水を撥ねさせながら通り過ぎていくのみだ。
深海は歩道の内側を歩いている。深海に意識させないままに雨音が歩道の外側を取ったのである。
右手には学校を取り囲むフェンスがあり、道路を挟んだ左手には学校のグラウンドがある。
歩いている道路は公道であるが、広い面積をとる深海の学校の所為で学校が終わるとあたりは人気が全くなくなり、少し不気味でもある。(学園をこの道路が分断してしまっているのだが、ご丁寧にも学園専用の歩道橋が備え付けられている。)
普段ならこの時間は野球部の使うナイター設備の明かりが煌々と辺りを照らしているのだが、今日は野球部の練習が出来ないほどに雨脚が強いためにそれもなく、暗くなってしまっている。
時折奔る雷光が辺りを刹那照らすが、それは不気味さを助長するだけだ。
さらに雨脚が強まってきた。
視界も狭まり、遠くで聴こえていた雷鳴も近づいてきたようだ。
「深海さん!」
学園の敷地から少し離れた辺りまで歩いたところで雨音は立ち止まり、声を大きめに出して言う。
大きめの声を出さないと悠悧まで声が届かないほどに雨の音が聴覚を妨げているのだ。
悠悧も足を止め、雨音のほうを向く。
「たぶん、もうちょっとしたら雨脚も弱まるだろうからちょっと雨宿りしよう。」
「うん?どこに?」
雨宿りできるような場所がこの近くにあるとは悠悧には思いつかないので首をかしげる。
「ちょっと知ってるところがあるんだ。」
雨音は工事途中のビルを指差す。
「え。あそこ入れるの?」
「うん。俺、よく行くんだ。」
そう言うと、雨音は早歩きで歩いていってしまう。
悠悧は少し逡巡。彼が自分に何かするとは思わないが、さすがに抵抗感は抱く。
しかし、ここにひとり取り残されるのも怖い。
彼から少し離れただけでアスファルトを強く打つ雨の音と雷鳴がやたら大きく響く。
悠悧はひとつ溜息をつくと、小走りに雨音の背中を追いかける。
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コメント
色々思い出します・・・
りきさん★
ええ。
私も遠い高校時代の記憶を掘り起こして書いてます。
自分の高校とか、部活の練習試合で行った高校とか、
いろんな高校のことを思い出しながら書いてます。
さて、これからどうなるんでしょう・・・自分にもわかりません。(オイ
最初に考えていた話と大幅に路線変更してますから・・・
私も遠い高校時代の記憶を掘り起こして書いてます。
自分の高校とか、部活の練習試合で行った高校とか、
いろんな高校のことを思い出しながら書いてます。
さて、これからどうなるんでしょう・・・自分にもわかりません。(オイ
最初に考えていた話と大幅に路線変更してますから・・・
うーん……
全く関係ないけど、『人気』って漢字を見るとまずどうしてもニンキって読んじゃうんだよなぁ……
クリスン★
確かに。
あとさ、『雨音』って名前も雨降ってるからややこしい。
自分で付けておいて思います。
あとさ、『雨音』って名前も雨降ってるからややこしい。
自分で付けておいて思います。
ところで、そっちはなんて読むんですか?
それともそっちがゆずりは……?
それともそっちがゆずりは……?
クリスン★
杠葉雨音⇒ゆずりは あまね
と読みます。
ちなみに
深海悠悧⇒ふかみ ゆうり
と読みます。
私は名字なんだか下の名前なんだかよくわからないような名前が好きです。
あと、性別不明な名前とか。
と読みます。
ちなみに
深海悠悧⇒ふかみ ゆうり
と読みます。
私は名字なんだか下の名前なんだかよくわからないような名前が好きです。
あと、性別不明な名前とか。
普通に「あまおと」だと思っていたよ(汗)
あまねか……。
て言うか、この学校の雰囲気がエドの高校にそっくりだ!!
グラウンドの配置とかね。駅は目の前だったけど。。。
続き楽しみにしてまっす♪
あまねか……。
て言うか、この学校の雰囲気がエドの高校にそっくりだ!!
グラウンドの配置とかね。駅は目の前だったけど。。。
続き楽しみにしてまっす♪
エドさん★
そうか・・・。
そうですよね。読めないですよね。
「杠葉」なんて絶対読めないし。
ほほう。
それはそれは。
これ書きながら5・6校、高校をなんとか記憶を掘り起こして
思い浮かべながら書きました。
もうかなり薄れつつある記憶を掘り起こすのは大変・・・。
そうですよね。読めないですよね。
「杠葉」なんて絶対読めないし。
ほほう。
それはそれは。
これ書きながら5・6校、高校をなんとか記憶を掘り起こして
思い浮かべながら書きました。
もうかなり薄れつつある記憶を掘り起こすのは大変・・・。
あぁ……
懐かしきかな男子校……(爆)
汗臭かった思い出ばかりですね。
ちなみに、家から自転車で15分だったので自転車通学。中学は歩いて15分、小学はこれまた歩いて15分。これが15分のトライアングルですw
汗臭かった思い出ばかりですね。
ちなみに、家から自転車で15分だったので自転車通学。中学は歩いて15分、小学はこれまた歩いて15分。これが15分のトライアングルですw
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とくに昇降口っていう言葉。
もう何年も聞いてなかったから、
余計に自分の記憶とクロスオ−バーしました。
これからどうなるのかな。気になります。